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一九八四年度ベストテン&ワーストテン [AtBL再録2]

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不幸は〈日韓連帯〉
〈外国映画ベストテン〉
①~⑤まで欲望のあいまいな対象(ルイス・ブニュエル) 
ストリート・オブ・ファイヤー(ウォルター・ヒル) 
ランブル・フィッシュ(フランシス・F・コッポラ) 
風吹く良き日(李長鎬) 
スカーフェイス(ブライアン・デ・パーマ)
バイオレント・サタデー(サム・ペキンパー)

 ブニュエル抜きには、アメリカ映画ばかり並ぶベストテンになってしまったことだろう。他の各国映画に関しては、自慢できるほどの勤勉さで見てまわったわけでないが、あまり感動しなかった。『風吹く良き日』がゆいつの例外である。シネマテークの形式上からいっても、この映画のように官製の「日韓連帯」から切れたところでの供給が望ましくある。と、こんなことを強調せねばならぬほどにも、とりわけ日韓の「文化交流」は相い変わらずに不幸なのである。テンノーの「謝罪」という政治効果一つで成算しきれるくらいの単純さでない不幸なのである。
 ただ韓国映画が、スピルバーグ=ルーカス帝国やジャッキー・チェン・プロジェクトほどの規模ではないにしても、この国の商業映画市場をささやかに制圧してしまうことは、充分に予測できる。

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 ペキンパーの新作は、期待したほどではない小味なものではあったが、ビデオ・ゲームによるスパイ戦争のすさまじさを見せてくれた興味で十位にした。ジョン・ハートの陰湿に執念深いスパイの存在だけでも大したものだった。かれはフリーマントルのチャーリー・マフィンを演じうる唯一人の俳優だと思った。あと『ランブル・フィッシュ』のミッキー・ロークに期待したい。そして今年も空しく、ヴィム・ヴェンダースの『ハメット』を待った。


順位なしの選外と同情票

〈日本映画ベストテン〉
①~⑤なし 
海盗り(土本典昭) 
伽耶子のために(小栗康平) 
スキャンティドール・脱ぎたての香り(水谷俊之)
アゲイン(矢作俊彦) 
修羅の群れ(山下耕作)

 ほとんど残ってくる作品がなかった。『海盗り』一作をあげて、あとは順位なしの選外とするほうが、意にかなっていた。しかし『海盗り』を、このような作品の列に置くことは、不謹慎の感がありながらも、何とか表を作ってみるとこのようになった。
 上位をしめるべき何の作もないわけだが、昨年と同じレベルを引くなら一作も残らないだろう。土本の映画は危機感の表明を色濃くしているわけだが、その側面への共感はあるにしても、作家の主張が直接に前面に出てしまう取り急ぎぶりには辛さが増してくる。
 『水俣の甘夏』や『無辜なる海』も記憶に残しておきたいが、同様の意味で、運動の観点からこれらの作品を救い出すことはできないだろう。上映方法すらもますます手作りになってゆかざるをえないだろうこれらの映画が、作品のブルジョア性からも孤立してゆくさまを確認するのは、全く暗い気持ちにおちいることである。

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 『アゲイン』と『修羅の群れ』については、ほとんど同情票である。回顧趣味を満足させてくれたことに関しての一票、それ以外ではない。『日本任侠道・激突篇』以来十年ぶりの山下耕作着流しやくざ映画路線は、反時代的形式主義美学の記憶を徒らに想い出させてくれた。この種の映画を主役で張れるスタアはもはやいないことを証明してしまったかのような『修羅の群れ』によって、ただ回顧の発動がうながされただけなのである。

「映画芸術」350号 1985年2月


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