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痛みにみちたヴェンダース [日付のある映画日誌1983]

30年遅れの映画日誌。映画を観るためには映画館に出かけるしかなかった時代の話。

 1983年4月9日土曜 晴れ
 ヴィム・ヴェンダース『ことの次第』
 渋谷 東急名画座

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 この日から始まった第一回ドイツ映画祭で。
 他に観たのは
 ヴェルナー・ヘルツォーク『フィッツカラルド』 4月10日日曜
 ヘルマ・サンダース=ブラームス『ドイツの青ざめた母』 4月11日月曜
 ヴェルナー・シュレーター『愚か者の日』 4月14日木曜
 ライナー・ウェルナー・ファスビンダー『ベロニカ・フォスのあこがれ』 4月17日日曜


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 ヴェンダースは『さすらい』と『まわり道』は観ていたけれど、『ことの次第』の「芸術映画」ぶりには、いささか戸惑った。いや、気取ってつくられたB級ノワール志向なんだから。
 映画をつくることについての痛みにみちた内省的ドラマ。
 映画史からの引用にあふれたペダンティックな作品だけれども、自家中毒の不健康さからは免れている。奥行きの豊かさは救いだ。
 じつは、ジョン・フォードの『捜索者』と何かのSF映画のパロディでもある。
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 コッポラ・ギャングの『地獄の黙示録』は山ほどのインサイド・ストーリーを派生させたが、この映画のテーマもその一つ。ヴェンダースは個人的な災難を黙示録的高みまで引き上げた。

 あとにコッポラ製作・ヴェンダース監督『ハメット』を観、さらにその製作秘話を知るにおよんで、さらに深く納得した。


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