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ノー・カントリー・フォー・オールドメン [映画VIDEO日誌2007-09]

2007.12.21     ノー・カントリー・フォー・オールドメン
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 ジョエル&イーサン・コーエン『ノーカントリー』を観てきた。
 基本的には、納得。
 早めに行ったのが幸したけれど、満員で入れなかった人もいたようだ。
 暑い試写室、銃声の効果音が身体のなかにドゥンドゥンとこだまする。
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 ジェイムズ・グレイディ『狂犬は眠らない』にびっくり。
 数あるリストラ・スパイの話でもダントツだ。CIAの秘密精神病院でグループ・セラピーを受けていた「狂人」が脱走する――  というのは、営業用紹介のモードで。
 びっくりしたのは、別のこと。献辞を捧げられた名前なのだ。  
 ボブ・ディラン
 ビリー・ホリディ
 ブルース・スプリングスティーン
 リチャード・トンプスン
 ブライアン・ウィルスン
 これだけで「同世代の絆」を感じてしまうのは、ただのセンチメントか。ともかく、読まずにはいられなくなる。
 たしかに、この小説の底には、ザ・ボスの「ジャングルランド」が執拗に流れている。
 その一貫性は、たとえば「ボーン・イン・ザ・USA」がある種のメッセージ・ソングとして利用された例などと比べて、はるかに内在的なのだ。
 他に、トンプスンの「アイ・フィール・ソー・グッド」、ザ・ビーチボーイズの「ドント・ウォーリー・ベイビー」は、映画の挿入歌といった使われ方をしている。
 ビリー・ホリディの場合は、人物の一人が「エンジェル・オブ・ハーレム」の投影なのだろう。
 そして、ディランはどこに?
 見当がつくのは、この小説が、マーティン・スコセッシの『ノー・ディレクション・ホーム』に多大な刺激をうけているのだろうということ。
 「世代の唄」がとりわけ低声で語られる季節がふたたび巡り来たったような。
 2007年問題の先頭を切ってシニアに突入した身として、いっそう強く感じるのだろうか。
 『ダイハード4.0』なんかでも、ブルース・ウィリスがクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルの講釈をして若者に馬鹿にされるシーンがあったりした。
 まあ、クリームやレッド・ツェッペリンの復活を目にしてどんな感傷にひたるかは、それぞれの勝手だけれど。


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 とまれ、『ノーカントリー』を来年三月に映画館で観るなら、堂々のシニア料金で入ることができる。
 原タイトルはずばり『老人の生きる国はない』だった。
 トミー・リー・ジョーンズは当たり役すぎて……。缶コーヒーのCMのロング・ヴァージョンみたいなところもあり。
 殺し屋ハビエル・バルデムは、『夜になるまえに』のレイナルド・アレナス役があまりに強烈だったせいもあって、今回はムニャムニャムニャ。
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 それにしても、『ファーゴ』でピーター・ストーメアがスティーヴ・ブシェミを「解体」しちまうシーンが思い出されてくる。

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