30年遅れの映画日誌。映画を観るためには映画館に出かけるしかなかった時代の話。

 1984年11月3日土曜 晴れ
 セルジオ・レオーネ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』



 新宿
 B級の巨匠レオーネはどうも肌が合わん。
 充分に長く、充分すぎるほど思わせぶり。おまけに横に間延びしたワイドスクリーン。
 映画的時間の長大さと語り=騙りの仕掛けとがまったく融合していない。
 おまけにストーリーに無理がありすぎる。
 90分でそつなく仕上げてくれればピタリと決まるようなトリッキーな話なんだが。
 そこがレオーネの巨匠たるゆえん、B級たるゆえん。
 普通なら前後を切ってつなげていくカットもこの人は捨てない。
 結果的に、凝視をいやおうなく強いるワンシーンの緊張ではなく、まるで逆の、NGテイクの継ぎ接ぎみたいな
連続になってしまう。
 トイレに行って戻ってきたら……、あらなんと、まだ同じシーンだったという「長回し」?なのだ。
 後に四時間の「完全版」とやらができたが、もうエエーよ。