30年遅れの映画日誌。映画を観るためには映画館に出かけるしかなかった時代の話。

 1983年9月13日火曜 曇り
 中村幻児『巨根伝説 美しき謎』
 東郷健監督、板坂剛脚本『薔薇の館 男たちのパッション』



 新宿

 これがエロ・ゲイ映画だぁっ。
 べつにドォッてことはなかったのだが。リピーターになりたいようなものでもなし。
 『巨根伝説』は例の三島事件を下敷きにした。
 だれが、どういう組み合わせでやろうと、セイコーは滑稽だという教訓話にみえる。大胆不敵な不敬ぶりであった。

 腰を振り立てては「テンノーヘーカ、バンザーイ」とオルガスムスに達するミシマに扮したのは、大杉漣。今はテレビCMなんかにも転進しているが、アング
ラ系でピンク映画の出演数はダントツだったから、妥当な配役というところ。
 どうせなら『マッスルモンク』のアンディ・ラウみたいにマッスル・スーツの着ぐ
るみで熱演してほしかったが。







 話は変わるけれど、西陣五番町あたりに取材旅行に行ったときのこと。
 むかしよく通った千中の西陣大映(ロマンポル
ノの二番館)が、シネ・フレンズ西陣と模様替えして、ゲイ映画専門館になっていたのにはビックリしたな。
 ライヴショーまであるとか。中に入って視察するま
での闘志は湧いてこなかった。

 せっかくだから近くの千本日活に入った。
 入場料500円。番組はふつうのピンク映画だったけれど、しばらくして雰囲気が異様であることに気づいた。
 要するに、映画は二の次。ホモの溜まり場、社交場に利用されていたわけだ。

 白昼堂々っていうか。スクリーンでは男と女がアヘアヘ、場内では男と男がアヘアヘ……。
 老いも若きも、ほんまにようやるよ。