30年遅れの映画日誌。映画を観るためには映画館に出かけるしかなかった時代の話。
 
 1983年9月27日火曜 晴れ
 呉充功『隠された爪跡』


 下北沢 鈴なり壱番館

 関東大震災朝鮮人虐殺記録映画
 歴史上の出来事からは60年が経過している。
 生存者の聞き書きをとるにしても、ぎりぎりの時期にさしかかっていた。
 文献は多数あるが、映像によるドキュメントは初の試みである。

 構成・監督の呉充功(オチュンコン)に会って、製作および上映の周囲を原稿に書いてもらうべく依頼する。
 他人に文章を書かせるのは、自分で書くより十倍も難しいと痛感した。