30年遅れの映画日誌。映画を観るためには映画館に出かけるしかなかった時代の話。

 1984年4月14日土曜 曇り

 山中貞雄『丹下左膳余話 百萬両の壷』



 高田馬場
 もう四月だった。
 学生街の山中貞雄は、ただもうやるせなく新しかった。
 小市民ホームドラマが心に沁みとおってくる。
 帰らざる日々に美化される喪の列のいくつか。