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イ・ハギン共同脚本『便利屋K子』 [日付のある映画日誌1984]

 1984年4月13日金曜

 イ・ハギン共同脚本『便利屋K子』

 新宿
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 映画作家李学仁イハギンのキャリアは『青春の門』助監督のところで記録としては途絶えている。
 それ以前に、監督・脚本の緑豆社自主制作フィルム『異邦人の河』『詩雨おばさん』があった。
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 日活ロマンポルノ路線『便利屋K子』の共同シナリオにクレジットされているイ・ハギンが同一人物であるのかどうか、じつのところ確証はない。
 名前を見つけたときは、李がロマンポルノ路線でカムバックを果たすのではないかと期待したものだが、以降のクレジットは当方の知るかぎりなかった。

 このあたりの曲折を知る人がいれば証言を聞きたいものだ。

 緑豆社が崩壊する前後のことは仄聞した。
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 あとに李学仁は劇画『蒼天航路』の原作者として有名になる。

 演出デビュー作となった『異邦人の河』は、ジョニー大倉が民族名を明らかにして主演したことでも話題を呼んだが、在日朝鮮人による史上初の劇映画である。
 その意味では時代を切り開こうとした先駆者といえるだろう。
 ただ「共和国イデオロギー」を遵守する思考の古さ・堅苦しさが、作品を貧しくしていたことは否定できない。
 ゆえに在日の表現者にとっては、最初から乗り越えられる対象としてあったのではないかとも思える。
 先駆者の「栄光と孤独」とはどこまでも彼についてまわっただろう。

 もう故人になってしまった。
 映画監督→挫折→現場への復帰→脚本家への転進?→劇画原作者。
 キャリアの転変をつなぐ空白が大きすぎる。
 それを埋めたいという好奇心が募る。

 併映は
『トルコの48時間』
『ニセ未亡人 いちじく白書』
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