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『マイルス・デイビス:バース・オブ・ザ・クール』 [BlackCinema]

2020.03.31 『マイルス・デイビス:バース・オブ・ザ・クール』2019

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ますますマイルス・デイヴィスが嫌いになる。
不思議な伝記ドキュメンタリだ。


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『Blackenstein』 [BlackCinema]

2020.01.20 『Blackenstein』1973
 タイトルだけは名高い作品なんだが。
 せめて宣伝ポスターの半分ほどの迫力があったら……と。
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『Their Eyes Were Watching God』 [BlackCinema]

2020.01.19 『Their Eyes Were Watching God』2005 TV Movie
 ゾラ・ニール・ハーストン原作。
 オプラ・ウィンフリー製作。
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ゴードン・パークス『Leadbelly』 [BlackCinema]

2020.01.17 ゴードン・パークス『Leadbelly』1976
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『The ART of RAP』Something from Nothing [BlackCinema]

2019.10.27 『The ART of RAP』Something from Nothing 2012
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『私はあなたのニグロではない』 [BlackCinema]

2019.09.11 『私はあなたのニグロではない』2016
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 ボールドウィンの状況的発言と白人映画論(『悪魔が映画をつくった』と彼はいう)のダイジェストに、ドキュメンタリ映像を重ねた。
 彼の発言が、抜粋された分、単調に平板になってしまったことは、残念ながら否定できない。
 彼の怒りと哀しみは、いまだにわれわれの心をうつ。とはいえ、今日、彼の怒りと哀しみとが現実に有効だとはとても想えない。
 やはり彼は、抗議文学の「最後のメッセンジャー」という位置にあった書き手だ。
 彼の複雑繊細な人間像を知るには『ハーレム135丁目』が適切だった。較べて、この映画には、左翼ポピュリズムのアジテーションを、演説家には最も似合わない人物に託すことによって展開する無理が明瞭だった。
 彼のスピーチが彼の小説の文体よりも雄弁ではないことは、誰の眼にも明らかだ。たしかに彼は「白人を憎め!」と叫んだかもしれないが、それは彼の内奥の声の、ほんの表層でしかなかった。


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『LA 92』 [BlackCinema]

2019.05.26 T・J・マーティン&ダニエル・リンジー『LA 92』2017
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RIOT1992atL.A. あれはなんだったのか?
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『ロード・トゥ・ライオン』『ロバート・ジョンソン』『ボブ・マーリー』 [BlackCinema]

2019.05.23 『スヌープ・ドッグ ロード・トゥ・ライオン』2012
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2019.05.24 『リマスター:ロバート・ジョンソン』REMASTERED: DEVIL AT THE CROSSROADS 2019
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2019.05.24 『リマスター:ボブ・マーリー』REMASTERED: WHO SHOT THE SHERIFF? 2018
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『ゲット・ア・ライフ』DOING HARD TIME [BlackCinema]

2019.05.22 プレストン・A・ホイットモア二世『ゲット・ア・ライフ』DOING HARD TIME 2004
 目には目、歯には歯の、果てしのない連鎖。
 ドナルド・ゴインズの世界そのままのブラックシネマ。
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『The Wrecking Crew -破壊部隊- レッキング・クルー』『ラフ・ボーイズ ROUGH BOYZ』 [BlackCinema]

2019.05.16 アルバート・ピュン『The Wrecking Crew -破壊部隊- レッキング・クルー』1999
 スヌープはどこに出てくる?
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2019.05.17 『ラフ・ボーイズ ROUGH BOYZ』2006
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『ヒップホップ・エボリューション』 [BlackCinema]

2019.05.16 『ヒップホップ・エボリューション』2016
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『ゲットー・ボーイズ GHETTO BOYZ』『サグ・ライフ THUG LIFE』 [BlackCinema]

2019.04.28 『ゲットー・ボーイズ GHETTO BOYZ』2001
 こっちは、途中で脱落……。
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2019.04.29 『サグ・ライフ THUG LIFE』2001
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スパイク・リー・ジョイント『ラストゲーム』 [BlackCinema]

2019.04.14 スパイク・リー・ジョイント『ラストゲーム』1998
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『ハッスル&フロウ』 [BlackCinema]

2019.04.08 『ハッスル&フロウ』2005
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2019.04.08 『Nobody Knows My Name』1999
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ジャン=クロード・ラ・マーレ『ギャング・オブ・ローズ』 [BlackCinema]

2019.02.03 ジャン=クロード・ラ・マーレ『ギャング・オブ・ローズ』2003
 女5人組の銀行ギャング。東洋人1人とブラック4人の構成。
 いちおうは、ブラック・ウェスタンなんだが。
 二挺拳銃のリル・キムをはじめ、だいたいがMTVの軽いノリ。
 意味不明のお遊びシーンも多く。
 カメオ出演でマリオ・ヴァン・ピーブルズが、ワンシーンだけ顔を出すところなんかも。
 内輪だけのギャグか?
 まあ、次を期待する、ということで……。
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シェリル・デュニエ『ウォーターメロン・ウーマン』 [BlackCinema]

2019.01.04 シェリル・デュニエ『ウォーターメロン・ウーマン』1995

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『クリード チャンプを継ぐ男』 [BlackCinema]

2018.10.18 『クリード チャンプを継ぐ男』
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ライアン・クーグラー『フルートベール駅で』 [BlackCinema]

2018.10.17 ライアン・クーグラー『フルートベール駅で』
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ライアン・クーグラー『ブラックパンサー』 [BlackCinema]

2018.10.05 ライアン・クーグラー『ブラックパンサー』
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ネイト・パーカー『バース・オブ・ネイション』 [BlackCinema]

2018.08.16 ネイト・パーカー『バース・オブ・ネイション』
 ナット・ターナーの奴隷叛乱を描く。
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『マーシャル 法廷を変えた男』 [BlackCinema]

2018.08.06 『マーシャル 法廷を変えた男』
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2018.07.15 『デトロイト』 [BlackCinema]

2018.07.15 『デトロイト』
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『ゲット・アウト』 [BlackCinema]

2018.05.20 『ゲット・アウト』
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 不愉快・ゲラアゥッ


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『スライ・ストーン』『ジェームズ・ブラウン』 [BlackCinema]

2015.11.16 『スライ・ストーン』
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 11.17 『ジェームズ・ブラウン』
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リー・ダニエルズ『プレシャス』 [BlackCinema]

リー・ダニエルズ『プレシャス』(2009)
 2013.02.04
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 ブラックシネマの項目も、今回で終了する。
 『プレシャス』
 観落としていた作品。
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 うっかり観落としてしまった。
 このジャンルは「終わった」と想っていたので、注目もしていなかった。
 それは、こちらの都合にすぎなかったわけだ。
 ガボレイ・シディベの存在だって、ベン・スティラーのコメデイで知ったのだから、まるで順序が逆。

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 「流行」は去っても、ブラックシネマの「精神」は終わっていない。
 当たり前だ。
 アメリカはますます、地球大の〈中枢ー従属〉構造の縮図を呈している。
 黒人にとっては、怖ろしい警察国家だ。
 『ストレイト・アウタ・コンプトン』のF・ゲイリー・グレイは、『ワイルド・スピード8』の監督に予定されている。


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アーネスト・ディッカーソン『ネバー・ダイ・アローン』 [BlackCinema]

ホームページ 2005.04の記事から

 『ネバー・ダイ・アローン』は、ブラック・コンテンポラリの正道を行くストリート・シネマだ。
 十年前のブラック・クライム・アクション全盛のころなら、この種の実録路線は珍しくなかった。
 今どきはめったに見かけることもなくなった。
 ゲットーのブラックの熱すぎる人いきれがむんむんと漂ってくるような画面の連続。これは凄いな。

 原作はドナルド・ゴインズ(1937-1974)の同名小説。
 ストリートと牢獄の体験、短く鮮烈な作家生活、抗争にまきこまれたと思える死の状況。
 どれをとっても2パックなどのギャングスタ・ラッパーたちの先駆者にふさわしい。
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 原書のペーパーバックはかなり出回っているけれど、翻訳はまだない。
 自伝の翻訳が進行しているというニュースもどこかで耳にした。
 エドワード・バンカー(彼は白人だが)タイプのクライム・ノヴェルの書き手だと見当をつけた。それなら売れるでしょう。

 監督はアーネスト・ディッカーソン
 『マルコムX』までのスパイク・リー作品すぺての撮影監督だ。
 以降のスパイクの低迷は彼との決別にあるのか?

 ということは、さておき。
 この人の全作品が必ずしもメジャーになっているわけではないにしても、ブラック・シネマのコアを形成していることは断言できる。
 近作の『BONES ボーンズ』(パム・グリアスヌープ・ドッグ主演) などは、ブラック版お化け屋敷ホラーのつくり。
 エディ・マーフィ
『ホーンテッド・マンション』ハル・ベリー『ゴシカ』のような娯楽路線と観比べてみればわかるのだが、きめの粗さがあるかわり、ブラック・ナショナリズムの色合いがドッと濃厚なのだ。
 この人のベストはアイス・T主演のアクション『サバイビング・ゲーム』

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 主演と製作は、ヒップホップスターのDMX。DMXの存在があってこそ実現した作品だと思える。
 DMXはアクション映画がつづき、その勢いか最初の主演作『BELLY 血の銃弾』がDVD発売になっている。

 映画は伝説のドラッグ売人キングの帰還と死から始まる。
 生と死は重ね合わせ。
 どちらが欠けても無意味だ。
 ストーリーは終わったところから巻きもどされて始まる。
 過去も未来もない、現在だけのストリート・ギャングたちを正確に映しとる。
 主要人物はキングの他に、彼を刺し殺すマイク(マイケル・イーリー)、偶然に彼の死の身近にいた白人ジャーナリスト ポール(デヴィッド・アークエット)の三人。

 大金を手に街に戻ってきたキングは、責任と贖罪について想いをはせている。
 彼に残された時間はあまりにも少なかった。
 彼はボスと手打ちをするが、それに従わない手下マイクによってあっけなく刺される。 
 バーで知り合っただけのポールは、キングに託された遺品のなかから彼の破天荒な人生を語ったテープを見つける。
 ストーリーの本体はこのテープに沿って、終わりからもういちど始まるわけだ。


 キングの死後の現在時では、ボスがマイクとポールを始末しようと追う。
 追手を次つぎと倒していくマイクは最後はポールの命を救う。
 ポールは恩人のマイクが、キングのテープに印象的に登場してくる男であることを知る。

 物語がそこに到達するまで、観客は、マイクがキングをいきなりナイフで刺す理由を教えられていない。
 マイクは「俺を誰だと思ってるんだ。俺を誰だと思ってるんだ」と繰り返して斬りかかっていく。
 それはキングが彼の頬の傷をからかってスカーフェイスと呼んだからか、あるいはマイクが暴力的な衝動にかられるクレージーな男なのだろうとしか判断できない。
 だがその行動には根深い理由があった。避けがたい行動だった。
 復讐。
 ドラッグに人生を破壊された男が、その加害者に再会した時。
 復讐の果実を、彼は喰らわねばならない。
 マイクの行動の避けがたさにこそこの映画の祈りのようなテーマがこめられている。

 死が始まりというこの映画が描くのは暴力の輪廻だ。
 耐えがたい暴力の連鎖。

 それはほとんどの場合、キングとマイクのケースのような個人的な絆としてあらわれる。
 だから避けて通れない。
 一つの暴力が二つ三つの暴力を生み、暴力のカオスが世界を埋めつくす。
 無限とも思える連鎖に個人はいかんともしがたく絡め取られていく。
 アメリカ帝国におけるその宿命と希望とを、ブラック・シネマは繰り返しくりかえし発信しつづけた。
 だれも一人で死ぬことは出来ない。
 そうした朴訥な現在にこの映画は確固として立っている。


 補足しておくと、DVD版にはいくつかの未公開シーンが収録されている。
 それを観てやっと本編の説明不足が補われて、各人物(とくにポール)の動機が腑に落ちる部分もあった。
 88分の本編はあえて説明を切り捨ててカットつなぎを重視する。
 話よりもスタイリッシュな映像である。
 ストリートのほの暗い映像と実録路線につきもののカメラぶん回しもあり、ストーリーを追うのはけっこう辛いところもある。
 とくにキングの回想のパーツでは、時間の経過があちこち飛ぶので混乱させられた。
 未公開シーンには助かったわけだが、これなら編集しなおしてディレクターズカット版を作ることもできたのでは、と余計な心配をしたのである。

     2005.04.04


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『ヴァニシング・チェイス』 [BlackCinema]

ホームページ2005.02の記事より

 ブラックシネマ現在形。
 レンタルで観た『ヴァニシング・チェイス』
 2001年製作。未公開。2004年10月DVD発売。
 スパイク・リー製作。リー・デイヴィス脚本・監督、第一作。
 原タイトル『午前三時』


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 夜の人びと。They live by night.
 夜の都会には特有の放浪者が住みつく。
 彼らはどこにも行かない。
 彼らの安息の地はどこにもない。
 ただ夜の街路を、居場所を持たないというそれだけの理由から、あてもなく彷徨いつづける。

 二本の足で歩こうが、四つの車輪で走行しようが同じことだ。
 彼らの一部は職業的なドライバーでもある。しかしその仕事は好んで選び取ったものではない。
 むしろ強制された苦役だ。
 ある種の人びとがその職につくのは、他に労働現場を選べなかった結果だ。
 メーターで区切られる賃金労働。点から点へと移動する狭い孤独なボックス。
 長時間はたらき重たい疲労とストレスを背負って、孤独だけをひとり持ち帰る。

 眠らない街の眠れない労働者。
 彼らを古典的な規定にしたがって、下層プロレタリアートと呼ぶこともできる。
 彼らの日常は、つぎの詩のような不条理さに満ちあふれている。

  夜の歓楽街の群衆の間隙から
  酒に酔った一人の男がおれの車に乗ってきた
  労働に蝕まれた皺だらけの醜い顔だ
  おれはタクシーのハンドルを握り
  バックミラーの鏡面から迫ってくる
  男の貌に恐怖する
  男は乗務員証のおれと同姓の
  済州島生まれの〈梁〉だといった
    ー梁石日「夢魔の彼方へ」


 この不条理さはもちろん、一般市民の体験するものとは隔絶している。
 夜の人びとを描いた作品には一定の密度がある。
 ポール・シュレーダー=マーティン・スコセッシ=ロバート・デニーロの『タクシー・ドライバー』、梁石日の『タクシー狂躁曲』とその映画化である崔洋一の『月はどっちに出ている』、バーヴェル・ルンギンの『タクシー・ブルース』などに共通する方法意識。
 激しく紋切り型に断定してしまえば、タクシー運転手という最下層労働の現場には当該社会の矛盾が凝縮集中してあらわれる。

 この作品『ヴァニシング・チェイス』のように、とりわけ多民族社会の矛盾が突出してくる。
 インド系の経営者によるタクシー会社は火の車。労働強化だけが生き延びる道だ。
 プエルトリコ系のドライバーから容赦なく遅刻の罰金を取る。
 アラブ系のドライバーはタクシー運転手連続殺人の何人目かの犠牲に。
 彼の友人のアフリカ系ドライバーは次は自分の番かとおののいている。
 ボスニア移民のドライバーは夜のニューヨークを走りながら、祖国で襲われた虐殺のフラッシュバックに苦しむ。
 彼らを結びつけるのは、たとえば、チャイニーズ料理のテイクアウトにまぎれこんだゴキブリだ。
 映画の前半は、いささか過剰なまでに多民族都市の問題を、息苦しいまでにぎゅうぎゅうに押しこむ。


 メインになるのは、三人の主人公。
 アフリカ系の中年男ハーシーとジョージィの恋物語が一番の主線だ。
 これをダニー・グローヴァー(製作兼任)とパム・グリアが演じる。
 流しの運転手と深夜食堂の女とのわびしい恋。
 『ジャッキー・ブラウン』での復活から四年、『BONES ボーンズ』の時は気づかなかったけれど、かつてのブラックスプロイテーション・クイーンもすっかり貫禄のついてオバサンになってしまった。

 ドラマの両翼に配されるのは、ボスニアで家族を殺されたラッシャ(セルゲイ・トリフォノヴッチ)と、プエルトリコ系のサルガド(ミッシェル・ロドリゲス)のエピソード。
 『ガールファイト』でデビューしたロドリゲスはまだ演技が硬いが、このあと『ワイルド・スピード』『S.W.A.T.』と作品がつづ
く。
 物語の後半は、その三人それぞれが避けられずに犯す殺人へと求心していく。

 タクシーが映す社会の亀裂。
 この作品の方法論は単純すぎるほど明快だ。

 スコセッシが『タクシードライバー』で見事に自ら演じてみせたように、狂気の運転手のさらに上手をいく狂った客がいる。
 それは個別の事象というより、夜の人びとが織りなす普遍の現象であるようだ。
 梁石日の詩にある、同郷の「植民地人」を名乗ってドライバーを脅かす客は、濃霧につつまれた深夜の中央高速で
「このまま釜山港まで突っ走れ」と呪詛のような低声で命令する。

 スコセッシの名シーンにしろ、梁石日の詩の一情景にしろ、夜の放浪者にとってはごく親しい風景なのだ。
 『ヴァニシング・チェイス』に『タクシードライバー』のその名場面からの「引用」カットがいくつか紛れこんでくるのは当然だった。

 この映画を、無理に分類すれば、犯罪サスペンスになるのだろう。
 しかし『ヴァニシング・チェイス』というタイトルはあんまりだな。
 たしかにカーチェイスみたいなシーンは、あることはある。それが見せ場なのかというとサギだろって感じになる。

 娯楽映画の枠組のなかに最大限の社会的メッセージをこめるスパイク・リーの精神は健在だ。
 少なくともリー自身の監督作『サマー・オブ・サム』みたいな半端な駄作よりもずっと熱い。
 スパイク・リーが特出してグローヴァーとのかけあいを演じる場面もあるが、そこには、方向を見喪った作家リーの素顔が染み出ていたようだ。

 これがラディカルな左翼ブラックシネマの現在か?
 安物アクションのパッケージでレンタルされることも含めて。


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『ブラキュラ』 [BlackCinema]

『ブラキュラ』(1972)
 2012.05.02
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 ブラックの吸血鬼。
 ブラックスプロイティーションの作品群を、いわば象徴化するような作品だ。
 この安直さ、この低俗さ、この臆面のなさ……。
 こうした商魂ムキダシ路線は、イタリアとか香港とかわが新東宝とかの専売ではなかったようで。当たり前か。
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 同じ路線のものに『Blackenstein』(1973)がある。
 これはまだ未見。
 ドラキュラにしろ、フランケンシュタインにしろ、ブラックとの語呂合わせがいい。
 黒人ならではの発想というべきか。


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フォルカー・シュレンドルフ『ルイジアナの夜明け』 [BlackCinema]

 シドニー・ポワチエ『ブラツク・ライダー』(1971)
 2009.02.05
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 ポワチエの監督・主演。
 どう見ても似合わないキンキラのギャンブラー・スタイル。

  『ルイジアナの夜明け』(1987)
 2009.07.02
 原作は、アーネスト・ゲインズの『A Gathering of Old Man』
 監督は、『ブリキの太鼓』のフォルカー・シュレンドルフ。
 もとはテレビ用ドラマだ。
 晩年のリチャード・ウイドマークと孫娘のホリー・ハンター。
 そして、ルイス・ゴセットJr、ウディ・ストロード、ジョー・セネカなどの爺さんたち。
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『トリック・ベイビー』 [BlackCinema]

『トリック・ベイビー』(1972)
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 白人に見える黒人男詐欺師の話。
 「白い肌の黒人」の物語は、古くからあるようだ。
 ジェームズ・ウェルドン・ジョンソン『もと黒人の自伝』(1912)、
ネラ・ラーセン『白い黒人』(Passing 1929) 
などは翻訳されている。
 パッシングとは「白人のふりをして生きる」ことを指す。
 パッシング・ノベルと命名される傾向が(今なお)あるわけだ。
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 アイスバーグ・スリムの原作による『トリック・ベイビー』は、詐欺師コンビの犯罪小説。
 映画は未公開で、知る人は少なく。
 原作が翻訳されたのも、作者の死後。
 話題になるための条件は、残念ながら、そろわずに終わった。
 スリムには『あるポン引き野郎の肖像』というフィルムもある。
 小説も実人生に劣らず「面白い」キャラクターなんだが。


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