1000年刻みの日誌? [30年遅れの映画日誌1987]
深夜テレビの『アウトサイダー野球団』 [30年遅れの映画日誌1987]
1987年12月5日 晴れ
李長鎬イ・チャンホ『アウトサイダー野球団』
深夜テレビ放映
韓国野球純愛熱血巨編。
画像は、『外人球団』のタイトルで単館ロードショーされた時(88年5月)のチラシ。
李長鎬特集五本も同時に上映された。
場所は吉祥寺のバウスシアターとジャヴ50。
人気コミックスの映画化。
はみだし者ばかり集めた野球チームが奇跡の五十連勝を戦い抜く、というよくあるパターンの筋書き。
ここに一人の女をめぐる宿命のライバルの対決とくる。
それにしても、こういう全くの定型通俗ドラマの基調からは想像しがたいほど暗い映画に仕上がっている。
まさに李長鎬映画独特のひきずりこまれるような暗鬱さ。
ヒロインはおなじみの李甫姫イ・ボイ。
彼女をめぐって、強打者のサードと天才ピッチャーの対決がある。
ここに狂信的な鬼監督がからんでくる。
これもおなじみの安聖基アン・ソンギだが、さすがに彼の演技力をもってしてもコミックそのままのキャラクターに現実感を与えることはできなかった。
片足は義足。『白鯨』のエイハブ船長をイメージして演じたんだろうが。
原作に引っ張られた部分は、どう観たって珍作。
野球とは関係ない原始的なトレーニングを延々とつづけ、足りないところは根性で補う。
原作漫画によっぽど人気があったんだろう……。後は絶句もの。
http://atb66.blog.so-net.ne.jp/2014-12-19
中国映画祭87 [30年遅れの映画日誌1987]
『悪魔の毒々モンスター』シリーズ続々と [30年遅れの映画日誌1987]
ルイ・マル『アラモベイ』 [30年遅れの映画日誌1987]
1987年9月5日 土曜
ルイ・マル『アラモベイ』
ヨーロッパ人作家が描くアメリカの「アクロス・ザ・ボーダーライン」。
しかも、音楽はライ・クーダー。
冒頭から、ヴェンダースの『パリ、テキサス』を想起させられたが…。
こちらは、より「アメリカ映画」に収まっていた。
1987年9月6日 日曜
シルヴァーノ・マンガーノ『にがい米』
1987年9月15日 火曜
マルガレーテ・フォン・トロッタ『ローザ・ルクセンブルク』
1987年9月23日水曜 新宿
ジョン・アーヴィン『ハンバーガー・ヒル』
ヴェトナム戦争トラウマ映画がとくに集中的に公開された時期だった。
これがベスト。
1987年9月30日 水曜
『友よ風に抱かれて』
『さらば愛しき人よ』
自作自演のスティーヴン・キング『地獄のデビル・トラック』 [30年遅れの映画日誌1987]
シュワルツェネッガー『プレデター』 [30年遅れの映画日誌1987]
ゆきゆきて奥崎 [30年遅れの映画日誌1987]
1987年6月18日木曜 晴れ
原一男『ゆきゆきて神軍』 新橋 試写
画面上で観るかぎり(そのかぎりにおいて)、奥崎謙三という存在は最高に光り輝いていた。
奥崎の「思想」にとってドキュメンタリー・フィルムとは最適なメディアだったようだ。
ただし作品自体には思想はまったくない。
想像を絶してはた迷惑な人物にふりまわされる苦痛に直面するとき、この作り手の創造性は猛然とかきたてられてくるらしい。
『極私的エロス 恋歌1974』から一貫している。
その意味では、原一男と「主役」奥崎との出逢いはまさしく一期一会といったものだろう。
作者は、奥崎の思想を抽象的なレベルにおいては、かけらも理解していない。
共感できなかったことは当然としても、この徹底した非理解ぶりには合点のいかないところがある。
もっとも無理解だからこそ作品の独特な緊張度が得られたわけだが。
(主役との疎隔感は、井上光晴の晩年を撮った『全身小説家』においても、変わらなかったようだ)。
偶然の所産にしろ、これは原のベスト作だ。これ以上の作品は望めない。
個体としての奥崎は最近、生存を止めた。
奥崎死すとも『神軍』は残る。
迷いこんで、悪夢のエルム街 [30年遅れの映画日誌1987]
『拳銃無宿』のリメイク??? [30年遅れの映画日誌1987]
1987年5月16日土曜 晴れ
ウォルター・ヒル『ダブルボーダー』
ゲーリー・シャーマン『ウォンテッド』
新宿
こっちがダメなら、あっちがあるさ。とハシゴしたんだが。
まあ、どちらも期待しすぎだったか。
期待度がゼロだったら、そんなに悪くもないじゃんといえた。
『ダブルボーダー』で、ニック・ノルティは精彩なし。
パワーズ・ブースがえらくカッコ良かった。他の作品でこんなに光っていたことはない。
不思議なことに、ヒルはペキンパーもどきをやると必ずコケル。
『ウォンテッド』は、『拳銃無宿』のリメイク。
リメイクなんかするもんじゃない、というサンプル。
いちおうルトガー・ハウアーの役どころはジョッシュ・ランダルの孫になっているが。
ジョン・ウー『男たちの挽歌』 [30年遅れの映画日誌1987]
こんな映画観たっけ [30年遅れの映画日誌1987]
映画フィルムのイミテーションのような [30年遅れの映画日誌1987]
シーズン・オブ・ギュネイ2 [30年遅れの映画日誌1987]
迷路に惹かれて [30年遅れの映画日誌1987]
フィルムは消耗品だ。 [30年遅れの映画日誌1987]
クリント・イーストウッド『ハートブレイク・リッジ』 [30年遅れの映画日誌1987]
クリント・イーストウッド『ハートブレイク・リッジ』
新宿
ヴェトナム戦争映画が群れをなして公開されたような感のある年。
その大方は反戦映画であったり、勝てなかった戦争へのトラウマ全開ドラマであったりした。
イーストウッドのワンマン・ショー。
「ついに勝ったぞ」の自信回復メッセージがひしひしと迫る感動映画だ。
戦争大好き映画(オリバー・ストーンのこと)でも好戦イデオロギー映画でもないところがミソ。
こういう時期もあったんだなってことか。
1975年のヴェトナム敗戦から湾岸戦争の「圧倒的勝利」まで、アメリカ社会をおおった屈辱感の深さ。
それをじつにうまくイーストウッドはドラマ化した。
イラク戦争のような「絶対に勝てる戦い」に何故アメリカ国民があれほど異常にのめりこんでいったのか。
この映画によって、その深層心理をいくらか理解できるような気がする。
引き立て役に徹したマリオ・ヴァン・ピーブルズ、悪役にはまったエヴェレット・マッギルが光っていた。