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不眠症を解消するために [30年遅れの映画日誌1986]

 不眠症がしつこく治らないので。
 よく眠りたいために、入ったオールナイト。
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 1986年4月26日土曜 曇り
 岡本喜八『ジャズ大名』 井筒和幸『犬死にせしもの』
 新宿

 つまり、『タクシー・ドライバー』のデニーロにあやかったわけだが。
 あれは、ポルノばかり観て、もっと絶望的な不眠に陥る男の話。

 観ているうちに、これは寝るのはもったいないと想えてきて。
 姿勢を正すのだが……。
 こちらを嘲笑うかのように、うつらうつらの気持ちよさが訪れ。
 脳みそがフェイドアウトする。
 そして、いつの間にか、ラストシーンになっていた。
 結局、残ったのは、眠ったのか眠ってないのか不明な気怠さばかり。
 これじゃ、また、いつもの繰り返しだ。
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ただ漫然と暗闇のなかに座って [30年遅れの映画日誌1986]

 1986年4月14日月曜 曇り
 ジャン=リュック・ゴダール『気狂いピエロ』
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 三鷹 三鷹オスカー
 五回目か六回目。
 ただ、まあ、漫然と午前中から暗闇のなかに座って。
 相変わらず、日々の境目が定かでなく。
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 1986.04.19 土曜
 フェリーニ『そして船は行く』
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 1986年4月19日土曜 曇り
 アラン・タネール『白い町で』
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 大森 キネカ大森
 時と空間の映像的溶解。
 タネール映画ではベストの印象だ。
 石畳の街路をカメラが流れていくとそれが深い海の波面に変容するシーンに恍惚となった。
 つまり、喪失とはこれなんだな。
 喪うとは、こういうイメージだったのかと。  
 

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『ゴダールのマリア』『チャオ・パンタン』『間奏曲』 [30年遅れの映画日誌1986]

1986.03.29 土曜
『ゴダールのマリア』
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1986.04.06 日曜
アフリカ映画『黒い女神』『村からの手紙』
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1986年4月13日日曜 晴れ
クロード・ベリ『チャオ・パンタン』
渋谷 ユーロスペース
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1986.04.13 日曜 青山
『間奏曲』 
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その年の冬は暖かくなかった [30年遅れの映画日誌1986]

 1986年2月9日日曜 晴れ
 裵昶浩ペ・チャンホ『その年の冬は暖かかった』
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 池袋 スタジオ200
 南北分断の悲劇はまだ少数テーマだったと思う。
 もう一本は、金洙容『白い微笑』

 1986年2月13日 木曜
テオ・アンゲロプロス『シテール島への脱出』
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 1986年2月18日火曜 晴れ
 滝田洋二郎『コミック雑誌なんかいらない!』
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 池袋
 歌わない裕也イイゾ 。
 頭脳警察の「コミック雑誌なんかいらない」内田裕也ヴァージョンを聴いたときの脱力感は忘れられない。
 ナンダヨ、これ。
 ところがなぜか、歌わない裕也はダンゼン凄いんだな。
 豊田商事代表斬殺犯人に扮したビートたけしもブッ飛んでいた。


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歩道橋が飴のように揺らいで [30年遅れの映画日誌1986]

 1986年2月1日土曜 晴れ
 ジャン=マリー・ストロープ&ダニエル・ユイレ『アメリカ』
 原作フランツ・カフカ
 渋谷 ユーロスペース
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 絶望的な不眠症に追いかけられ。
 昨夜は電車のあるうちに飲み会は切り上げたはずなのに、帰りは何時だったのか。
 どこでいつ一日が終わり、一日が始まるのか?
 朝、ほとんど着の身着のまま飛び出して。
 渋谷の歩道橋が飴のように揺らいでいる。
 どこがカフカなんだ。
 映画に八つ当たりはスジ違い。
 とはいえ……。

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黙って、野垂れ死ぬな! [30年遅れの映画日誌1986]

 1986年2月21日金曜 曇り
 山岡強一・佐藤満夫『山谷 やられたらやりかえせ』
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 新宿 四谷公会堂
 初めての東京一般公開。
 厳戒態勢の新宿通り。
 満員で熱気あふれる会場。


 『インパクション』145号が、上映運動の二十年を総括している。
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 今年は、そして三十年。
 

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絶え間なく膿のような鼻汁を [30年遅れの映画日誌1986]

 1986年1月28日火曜 曇り
 山岡強一・佐藤満夫 『山谷 やられたらやりかえせ』
 新橋 TCC試写室
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 ラッシュ・フィルムは何度も観せてもらう機会があったが、完成試写は初めて。
 改めて、映画をつくる途上で「戦死」を遂げた二人の監督に黙祷を。
 
 1986年1月31日金曜 曇り
 セルゲイ・エイゼンシュテイン『メキシコ万歳』
 中野 スペースショウ
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 体調が急激にスパイラルダウン。
 鼻が詰まって、絶え間なく膿のような鼻汁をかみ出す。
 脳が溶け出して、鼻腔から洩れてくるようだ。
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野蛮人のように [30年遅れの映画日誌1986]

 1986年1月2日火曜 晴れ 新宿
 那須博之監督 中山美穂 中村トオル『ビー・バップ・ハイスクール』
 川島透監督 薬師丸ひろ子『野蛮人のように』
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 1986年1月9日木曜 晴れ 新宿
 アンジェイ・ワイダ監督『ドイツの恋』 ハンナ・シグラ ダニエル・オルブリフスキ
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 1986.01.16 木曜 高田馬場
『アナザー・カントリー』『シルクウッド』
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1986.01.18 土曜 四谷
『大胆の時』
『ただ一つの拳のごとく』
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1986.01.23 木曜
『トスカの接吻』
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1986.01.28 火曜 新橋
『熱いトタン屋根の猫』
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『西部劇の作家たち』1972.7 [西部劇・夢のかけら]

 『西部劇の作家たち』1972.7 キネマ旬報『世界の映画作家』シリーズの一冊。
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 フォード、ホークス、ペキンパー
 このジャンルに関して、作家論の系列の本は珍しかった。
 ジョン・フォード、ハワード・ホークスと並んでサム・ペキンパーの名前があるのも奇異な感じがする。
 ペキンパーは「遅れてきた」作家だった。
 この本が出た時点では、いくつかのB級作につづいて『ワイルドバンチ』『ケーブル・ホーグのバラード』があるだけだった。  『ケーブル・ホーグ』は『砂漠の流れ者』というタイトルだったし。
 『ジュニア・ボナー』も『ゲッタウェイ』もまだ公開されていなかった。


 フィリップ・フレンチ『西部劇・夢の伝説』 フィルムアート社 1977.1 284p

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 西部劇の理論書みたいなのは敬して遠ざけていた。
 これだけなぜか一冊ある。
 同じ著者の『映画のタイクーン』に感心していたので、買った。
 しかしテーマ主義の強いアプローチにはあまり共感できず。
 こうした「研究」もまた落日の産物なんだろう。
 西部劇はもう、観るものではなく懐古する対象となってしまった。


 『oh! 我らがB級映画』
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 『季刊 映画宝庫』B級映画大全の一冊 1977.10 芳賀書店
 適度な(?)マニアック性が気に入り、手元にけっこう残してある雑誌。
 全ページではなく、半分が西部劇関連。
 サム・ペキンパー第一作『荒野のガンマン』の特集も。
 この雜誌だと、B級あつかいがリスペクトなのらしい。
 けれど、ペキンパーを評するのに「遅れてきた作家」というのでは圧倒的に足らない。
 彼は西部劇ブームが事実として終わったときにこのジャンルを背負わされた。
 落日のヴァニッシング・アメリカンだったのだ。

 

 『季刊 映画宝庫』さらば西部劇 1978.7 芳賀書店
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 『荒野の決闘』のシナリオ採録
 『駅馬車』『シェーン』の原寸大ポスターの付録
 など盛り沢山だが、B級センスの追求というテイストは変わらず。
 スター名鑑に出てこないB級スター名鑑
 日本人の知らないB級シリーズの数かずなど。

  これにて、ウェスタンの項目は終わり。


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キネマ旬報増刊 西部劇シナリオ決定版 [西部劇・夢のかけら]

キネマ旬報増刊 西部劇シナリオ決定版 1962.5、7、9
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 読み物よりも、シナリオ採録が値打ちの三分冊。
 ベストテン作品のおおかたはここにある。
 採録作はグラビアページつき。
  モノクロなのは残念だが、作品自体がフルカラーでない名作もあることだし。
 背表紙なんかは焼けて破れたところもあるけれど、お宝本のコレクションだ。


スクリーン臨時増刊西部劇特別号 五冊
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 当時の映画ファン誌は『映画の友』と『スクリーン』とが二分していた。
 こちらの特集号のほうは五冊もあるせいか、あまり有難みはなかった。
 内容的にも、これはという特徴はない。
 大藪春彦の読み物「西部劇時代の銃器」くらいなものか。 


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ガンマン [西部劇・夢のかけら]

 ガン・マン臨時増刊 画報西部劇60年 1962.1
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 この雑誌の他の号のことなどはまったく知らない。
 特集号のみが手元にある。
 映画専門誌の特集と比べても遜色はない。
 西部劇映画史60年のグラビアページが充実している。
 とくに戦前製作の作品データ50ページ分は、これでしか見られないスティールを満載。
 お宝度もピカ一だ。


 増刊ヒッチコック・マガジン『GUNのすべて』1961.5 『続GUNのすべて』1962.1

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 これはミステリ専門誌による特集。
 「拳銃のことは、何も知りません」と中原弓彦(小林信彦)の編集後記にある。
 西部劇ブームとモデルガン・ブームとが一体だったことをよく語る文献。
 拳銃学入門、西部拳銃史、テレビ西部劇への招待 などの記事が並ぶ。
 TV西部劇シリーズは、最盛期で週に二十本くらいあった。
 モデルガン・ショップが新京極にあって、いつも指をくわえて見ていたものだ。
 西部劇スタイルの抜き撃ちやガンスピンを趣味にする人たちも大勢いたのだった。



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『西部劇の世界』など [西部劇・夢のかけら]

 『西部劇の世界』 荒地出版社 310p カバー
 これは1972年の新装増補版のもの。
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 親しんでいたのは、1960年8月刊の初版。
 双葉十三郎の「西部劇ベストテン」の文章なんかは、暗記するくらいに読み耽ったのだった。
 亡くしてしまったので、増補新版を買ったのだけれど、どこかしっくりとこない。



『西部劇読本』映画の友臨時増刊1960.10
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 表紙は『アラモ』から。
 ジョン・ウェイン(デイヴィー・クロケット)とリチャード・ウイドマーク(ジム・ボウイ)。
 巻頭には「西部劇天国ニッポン」とある。
 これをピークに三年ほどブームの時代がつづいた。
 雑誌の特集号をせっせと買っていたのがまだ保存されていた。
 これは一冊目なので、上記の『西部劇の世界』ともどもお宝本となっている。


 西部劇ベストテン(製作年度順) 『西部劇読本』の選出
 駅馬車 ジョン・フォード
 荒野の決闘 ジョン・フォード
 西部の男 ウィリアム・ワイラー
 黄色いリボン ジョン・フォード
 赤い河 ハワード・ホークス
 ウインチェスター銃73 アンソニー・マン
 真昼の決闘 フレッド・ジンネマン
 シェーン ジョージ・スティーヴンス
 大いなる西部 ウィリアム・ワイラー
 リオ・ブラボー ハワード・ホークス

 『西部劇の世界』の選出もほぼ同じ。
 『駅馬車』と『西部の男』が抜け、代わりに次の二本。
 ヴェラクルス ロバート・アルドリッチ
 OK牧場の決闘 ジョン・スタージェス



 『続西部劇読本』映画の友臨時増刊1961.5
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 前号は完売、品切れ。
 名作百選リスト TV西部劇特集 などの記事。
 充実した内容である。
 『ララミー牧場』の広告も懐かしい。
 『ララミー牧場』本編よりもずっと愉しみだったのは、淀川長治の「西部こぼれ話」のトークと、チンパンジーの出るバャリース・オレンジのCM。

 


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西部劇ベストテン [西部劇・夢のかけら]

西部劇ベストテン
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 この切り抜きの出所は不明。
 たぶん『荒野の七人』のサントラ ソノシート付きムックからのもの。
 版型がタテ19センチ、ヨコ21センチだから、そう推定するだけ。確信はなし。

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テレビ西部劇の栄光時代

 同じ切り抜きのウラページ。
 61年だと思うが。
 週に17本も放映されていた。
 『ローハイド』『拳銃無宿』『ララミー牧場』『シャイアン』など。
 TV西部劇が子供の精神世界を決定してしまったのだ。
 おかしなもので、TVシリーズというのは、ヒット作が出ると必ず双子の弟みたいなそっくりシリーズが作られる。

 スティーヴ・マックイーンの『拳銃無宿』には、ニック・アダムスの『反逆児ジョニー・ユーマ』 
 
前者が銃身を短く切りつめたライフル、後者は同じく短くしたショットガン。
 クリント・ウォーカーの『シャイアン』には、タイ・ハーディンの『ブロンコ』 という具合。
 主題歌まで似せてあった。


ちなみに、マイベストは。
 ワイルドバンチ サム・ペキンパー
 リオ・ブラボー ハワード・ホークス
 ヴェラクルス ロバート・アルドリッチ
 赤い河 ハワード・ホークス
 駅馬車 ジョン・フォード
 荒野の決闘 ジョン・フォード
 シェーン ジョージ・スティーヴンス
 大いなる西部 ウィリアム・ワイラー
 OK牧場の決闘 ジョン・スタージェス
 ゴーストタウンの決闘 ジョン・スタージェス

 プロフェッショナル リチャード・ブルックス


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ラルフ・ネルソン『ソルジャーブルー』 [西部劇・夢のかけら]

 ラルフ・ネルソン『ソルジャーブルー』 1971年
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 個人的な追憶は『ワイルドバンチ』の項目で見事に幕を閉じる。
 西部劇・夢のかけら、あとの一回はつけ足しだ。
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 『明日に向かって撃て』『アントニオ・ダス・モルテス』など、印象深い作品はこの間にはさまっている。
 けれど、どちらも純然たる西部劇とはいえないだろう。
 ニュー・ウェスタン・シネマ、もしくは、南米西部劇。

 じつのところ、『ソルジャーブルー』の内容は、あまり記憶に残っていない。
 ラストの合衆国軍隊による先住民虐殺シーンを除いては……。
 しかし、これはあまりにも有名すぎて、作品を観たことのない者すら話題にのぼらせる場面だ。
 もしかしたら、わたしはこの映画を観たと記憶しているだけで、じつは観ていないのかもしれないと思うことがある。
 観なくてもよかった。
 それ以前に西部劇という夢の神話、かつてあれほどにも輝いていた神話は粉ごなに崩れ落ちてしまっていたのだから。
 あえてこのフィルムが総仕上げをするまでもなく。
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サム・ペキンパー 『ワイルドバンチ』 [西部劇・夢のかけら]

サム・ペキンパー 『ワイルドバンチ』

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 後にも先にも、これがベストワン。
 これをしのぐ作品は現われない。
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 最初に見たのは、四条大宮の名画座だった。
 69年だったか、70年だったか。

 間違えてマカロニ・ウェスタンを観てしまったような、嫌悪だけが残った。

 衝撃はゆっくりとゆっくりと浮上してくる。
 10回以上は観た。
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リチャード・ブルックス『プロフェッショナル』 [西部劇・夢のかけら]

 リチャード・ブルックス『プロフェッショナル』 1967年
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 黄金時代を過ぎて、昔ながらのアクション活劇という意味では、唯一この作品しかない。

 メキシコ革命軍くずれの山賊にさらわれた牧場主の妻を奪還すべく四人の特殊工作プロが雇われた。
 単純明快な話だ。

 リーダーにリー・マーヴィン、爆破専門のバート・ランカスター、兵站部門のロバート・ライアン、遊撃部門のウッディ・ストロード。

 拉致される女にクラウディア・カルデナーレ、賊の頭目にジャック・パランスという配役。
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 リー・マーヴィンが最高だったな。
 『ドノバン珊瑚礁』『殺人者たち』『ポイント・ブランク』など、これがマーヴィンの最盛期の華。
 それと、あまり作品に恵まれなかったストロードの輝き。
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ヘンリー・ハサウェイ『ネバダ・スミス』 [西部劇・夢のかけら]

 ヘンリー・ハサウェイ『ネバダ・スミス』

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 観ているほうの都合でいえば、スティーヴ・マックイーンのワンマン映画なんだが、助演陣の層の厚さも凄い。

 ブライアン・キースのガンマンに特訓を受ける前半は文句なし。
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  一人、二人と仇討ちをやってのけるところまでは快調だった。
 ここまでなら、何回観ても素晴らしい。

 後半になって復讐者の内面にもくもくと迷いが生じてくると……。
 なんとも歯がゆい展開に苛々しどおしだった。
 ストレートな復讐劇でまとめあげればと望むのは野次馬根性か。
 すでにそうした傾向は「過去」のものになっていたということか。
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 考えてみればマックイーン西部劇の後期は、だいたいこんな余分の注釈で統一感の薄い話になっていたみたいだ。
 晩年の『トム・ホーン』がいい例で、脱力する話が終わった後のスクリーンに「これは実話である」なんて但し書き出てくる。
 アンチ・カタルシスが後あとまで尾を引く。

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 10年くらい前、『拳銃無宿』のフルカラー版DVDが発売になった。
 オリジナルのモノクロを加工した着色版だ。

 シリーズの最終回が忘れられない。
 護送した女の囚人とのあいだに芽生える恋。賞金稼ぎの足を洗って新たにやり直そうと二人は約束する。
 けれども待っているのは女の死だった。
 ジョッシュの、魂を抜かれたような表情がいつまでも心に残った。

 マックイーンのベストはやっぱり『拳銃無宿』
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 二は『荒野の七人』
 三のセレクトに迷う。『シンシナティ・キッド』か『ジュニア・ボナー』か『ゲッタ・ウェイ』か……。
 純然たる西部劇といえないものばかり。
 仕方がない。『ネバダ・スミス』の前半のみを三位に。
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サム・ペキンパー『ダンディ少佐』 [西部劇・夢のかけら]

 サム・ペキンパー『ダンディ少佐』

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 中学卒業のころに観た。

 西部劇への派生的な思い出がふくらむのは、やはりペキンパーという存在のため。
 彼の活動が60年代なかば(もう西部劇が終わってしまった時代)から本格化してくるからだ。
 『ダンディ少佐』は初のB級ではない大作。
 キャストは豪華だし、制作費もかかってる。
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 背景は南北戦争下。
 アパッチ討伐に向かう北軍が捕虜の南軍兵士を一時的に討伐部隊に加える。
 敵の逃げこんだメキシコではフランス軍の駐留部隊が新たに立ちはだかってくる。
 こちらを撃破すれば、あちらが出てくる。
 前面の敵、後方の敵、そして内部の敵……。
 三つ巴・四つ巴になった戦闘シーンは目まぐるしく、華麗だ。
 ーーといいたいところだが、ナンだかややこしいだけって感じでもある。

 まあ、ともあれ標準的な娯楽作にはなっている。
 ペキンパー神話の一エピソードでなかったら、とうに忘れ去っていたかも。
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 主演のチャールトン・ヘストンは史劇スターのイメージが強いけれど、西部劇が似合わないこともない。
 少なくとも作品には恵まれているようだ。
 最近では、マイケル・ムーアのドキュメンタリでおちょくられたように、ライフルをかついだ老いぼれゴリラになっている。
 あれとは別人。ともかく若いし。

 けれどこの映画では、南軍捕虜の指揮官リチャード・ハリスや、片目の斥候ジェイムズ・コバーンに見せ場をさらわれてしまった。
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ジョン・フォード『シャイアン』 [西部劇・夢のかけら]

 ジョン・フォード『シャイアン』

 1965年に観た。
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 パンフレットには双葉十三郎による「フォード西部劇の集大成」という文章がある。
 事実はフォード西部劇の墓碑銘だったんではないか。
 最終最後の西部劇。
 それも作者の固有名詞はとりのけて、西部劇というジャンルそのものの最終最後の作品……。
 なぜならテーマが先住民絶滅政策にかかわってくるからだ。
 居留地での悲惨な現実から脱出していく種族と合衆国軍隊の戦闘。
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 結局、「射撃の標的になる野蛮なインディアン」というタイプを廃して、史実を描こうとすると西部劇という伝統ジャンルは成り立たなくなるのだ。
 そのことをフォードは「最後の」作品によって実証したのではないか。
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 そのせいか、主役のリチャード・ウイドマーク、ジェイムズ・スチュアート、キャロル・ベーカーはもちろん、
フォード映画には異色のアーサー・ケネディ、カール・マルデン、エドワード・G・ロビンソンなどよりも、
シャイアン族を演じたギルバート・ローランド、リカルド・モンタルバン、ドロレス・デル・リオ、サル・ミネオのほうがよほど印象に残っている。

 ということは。
 西部劇を観つづけたこの個人的なメモリアルも『シャイアン』によって閉じられる?

 たしかに原則的にはそうに違いない。短いあいだであった。
 あとは付け足し、注釈になるか。
 いや、じつは注釈のほうが本体になるふうな気配なのだけれど。
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マーロン・ブランド『片目のジャック』 [西部劇・夢のかけら]

 マーロン・ブランド『片目のジャック』

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 1962年に観た。

 ブランド唯一の監督作。
 ひとつきりで良かった……。

 難解至極の問題作は数多いが、およそ人生初めての遭遇だったような。
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 主題曲だけは気に入っていた。
 これだって、映画とは関係なく聴いていた。


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 これはインサイドストーリーを読むほうが面白い映画の典型なんだろう。

 ブランドほど西部劇の似合わないスターはいないってことか。
 『ミズーリ・ブレイク』(1976)も大空振りだったし。
 まず帽子が似合わない。
 馬に乗っていると、馬がロバに見える。
 拳銃を手にすると、オモチャを持っているみたいだ…。


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『荒野の三軍曹』『テキサスの四人』 [西部劇・夢のかけら]

 ジョン・スタージェス『荒野の三軍曹』

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 ロバート・アルドリッチ『テキサスの四人』

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 どちらもシナトラ一家の豪華キャスト。
 そのくせ、パンフレットを見返しても、エッこんな映画観たんだっけの頼りない記憶しか残っていない。

 とくに『テキサスの四人』のほうは、アニタ・エクバーグ、アーシュラ・アンドレス、チャールズ・ブロンソン、ヴィクター・ブオノと助演が多彩。
 テンポも悪くなかったけれど。やっぱ主役の問題か。

 まあ何をやっても、『オーシャンと11人の仲間』の西部劇ヴァージョンになってしまう感じだったんだろ。
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ジョン・フォード他『西部開拓史』 [西部劇・夢のかけら]

 ジョン・フォード他『西部開拓史』

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 1963年に観た。
 これも、当時の新作。
 シネラマ劇映画第一作の巨大画面。
 オールスターキャストの三時間近い超大作であった。
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 10大スターの競演。
 とはいえ、だれがどの場面で光っていたのかはごく頼りない記憶だ。
 まあ、見せ場に次ぐ見せ場なんで、けっこうくたびれたんだろう。
 強いていえば、グレゴリー・ペックのギャンブラーとデビー・レイノルズの酒場女……。

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 喜び勇んで観に行ったわりには、並みの感動だったような。
 パンフレットにしてから、当時としては珍しいカラーページ主体の豪華さ。
 もう半世紀になるか。
 図書館のDVDコーナーに置いてあって、人気はまだまだ高い。
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ジョン・スタージェス『荒野の七人』 [西部劇・夢のかけら]

 ジョン・スタージェス『荒野の七人』

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 1961年に観た。新京極松竹座。

 リヴァイヴァル全盛時代に観た新作ということで、やはり満足度も格別だった。
 けれど振り返ってみると、ベストテン級じゃないなって感想。
 ハリウッド製のメキシコがどの西部劇にもまして薄っぺらに感じられた。
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 オリジナル原典の『七人の侍』は山科映劇で観た。
 こちらは長すぎて、恐れ入って、少し退屈した。


 ともあれ、スティーヴ・マックイーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンの映画。
 それぞれのカッコ良さにしびれたのは当然だった。

 このメンバーがそっくり再結集した『大脱走』に比べたら、『荒野の七人』はかすんでしまう。
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 何の雑誌だったかは忘れてしまったけれど、英語学習用でこの作品を特集したものを愛読・愛聴していた。
 シナリオの対訳の抜粋と、音声ソノシート。
 その時分は、小型トランクみたいな不細工なポータブル・レコードプレイヤーで聴くのが一般的。
 ソノシートから流れるメインテーマや、ブリンナーの「アディオス」を、ただ有り難がっていた。


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ジョン・スタージェス『ガンヒルの決闘』 [西部劇・夢のかけら]

 ジョン・スタージェス『ガンヒルの決闘』 59年製作
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 決闘三部作の三作目。
 こちらでつけた営業的なネーミングだから、話の関連はまったくナシ。
 まあ、いいじゃないか。



 ヒイキは二作目の『ゴーストタウンの決闘』。
 しかしパンフレットが見当たらない。
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 こちら「ガンヒル」の話は地味そのもの。
 「決闘」がつかなかったら、観る気になったかどうか。

 カーク・ダグラスは儲け役をアンソニー・クインにさらわれた。
 クインの役柄は、『革命児サパタ』でも『炎の人ゴツホ』でも『ワーロック』でも、同じだったなと思い出す。
 主役の影にまわって引き立て役に徹するとみせて、芝居のおいしいところは全部いただいてしまう。

 そういえば、カークとのコンビは『ゴッホ』以来。
 絵筆を拳銃に持ち替えても、構図は同じだったか。
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ジョン・スタージェス『OK牧場の決闘』 [西部劇・夢のかけら]

 ジョン・スタージェス『OK牧場の決闘』 57年製作 リヴァイヴァル
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 前に書いた理由で、決闘ものなら何でも喜んで観ていた。
 そのなかでもピカ一がこれ。
 フランキー・レインの主題曲。
 土曜の夜の『ローハイド』ともども、この人の歌声は西部劇の代名詞だった。
 ブーツヒル、ブーツヒル。ソウ・コールド、ソウ・スティル。
 なんて一節にコロリと参っていたんだな。
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 バート・ランカスターとカーク・ダグラスの主役コンビ。
 カークのウイスキーの呑みっぷり。
 10センチは離れたところからショットグラスの中味を、狙いあやまたず、口に放りこむ。
 当時は、早撃ちのマネと、ウイスキーの曲芸呑みのマネをする奴が沢山いたものだ。
 十年前の『荒野の決闘』にも敵役で出ていたジョン・アイアランド。
 それから、リー・ヴァン・クリーフの殺されっぷり。
 そして何よりデニス・ホッパーの若々しさ。
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ジョン・フォード『捜索者』 [西部劇・夢のかけら]

 ジョン・フォード『捜索者』 56年製作 リヴァイヴァル
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 10代なかばのこの年頃の嗜好なんて単純なもので、派手なガンファイト・戦闘シーンがテンコ盛りになっていれば満足していた。
 ところが『捜索者』にはその両方がない。
 ジョン・ウェインの役柄は『赤い河』にも増して陰惨きわまる復讐鬼なのだ。
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 He had to find her.

 「インディアン」にさらわれた妹(ナタリー・ウッド)を捜し求め、復讐を果たす。
 これだけの物語だ。
 ちょうど『許されざる者』と合わせ鏡になるようなストーリー。
 それもそのはず、原作者は同じアラン・ルメイだった。
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 「インディアン」と表記するのは、べつに、「政治的に公正な言葉遣い」を無視するわけではない。
 開拓者の絶対正義と野蛮の悪を対置することで成り立つ一時期の西部劇を語るのに、先住民という言葉ではズレが生じるからだ。
 現にこの映画のクライマックスには、復讐者が「インディアン」を襲撃して、頭の皮を剥
いでしまう、というショッキングなシーンが置かれている。
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 これが人間の条件をめぐるアーキタイパルな(アメリカに特有の、と注釈をつけたほうがいいか)物語だと気づくのはずっと後年のこと。

 不思議なことに、すると、いくつかのシーンがまるで大切な額縁に入れられていた追憶のように、くっきりとよみがえってくるのだった。
 数十年も意識の古井戸の底に眠っている映画力にあらためて感歎した。
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『3人の名付親』その他 [西部劇・夢のかけら]

 ジョン・フォード『3人の名付親』 48年製作 リヴァイヴァル
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 他にリヴァイヴァルで観たものは

 ジョン・スタージェスの『ブラボー砦の脱出』
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 ゲーリー・クーパーの『ハイ・ヌーン』
 ロバート・ライアンの『誇り高き男』
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 ボブ・ホープの『腰抜け二挺拳銃』
 ディーン・マーティン&ジェリー・ルイスの『底抜け西部へ行く』
 オーディ・マーフィの『シマロン・キッド』
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 ウィリアム・ワイラーの『大いなる西部』
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 などなど。

 映画館は、京劇名画座とか、田園シネマとか。河原町三条あたりが中心。
 ごとごとと走る京津電車。
 帰り道はとりわけ暗かった。 


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ロバート・アルドリッチ『ヴェラクルス』 [西部劇・夢のかけら]

 ロバート・アルドリッチ『ヴェラクルス』 54年製作 リヴァイヴァル
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 バート・ランカスターの真っ白な歯と曲撃ち。
 チャールズ・ブッチンスキーこと後のブロンソンの殺されっぷり。

 中学卒業のころ観た。

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 メキシコ革命のさなか、アメリカから喰いつめたアウトローたちが流れこんでくる。
 ある者は群れをつくり、ある者は一人で――some came alone.
 そしてゲーリー・クーパーがロングショットで現われる、というファーストシーンも気に入っていた。

 ベストファイヴの一本。
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ジャック・イーラム、アーネスト・ボーグナイン、チャールス・ブッチンスキー(ブロンソン)
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ジョージ・スティーヴンス『シェーン』  [西部劇・夢のかけら]

 ジョージ・スティーヴンス『シェーン』 53年製作 リヴァイヴァル
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 いまさら何もいうことはない? 西部劇の代名詞のような名画。

 パンフレットをぱらぱらめくると、リヴァイヴァルものが流行るのは新作不作のせいだろう、とかいう意見が載っていた。
 むかしから同じことの繰り返しだったか。

 この作品はとくにそうだが、日本の股旅ものとの共通項がはっきりしている。
 日本人好みというか、どこの国でもウケル要素を満載しているわけだ。
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 主題曲の「遥かなる山の呼び声」は、ヴィクター・ヤングのオーケストラではなく、歌つきのものがあった。
 ラジオで何度か耳にしたことはあるが、レコードで流通したのかどうかは確かめたことがない。
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