『墓にツバをかけろ』(1959)
 2009.01.06
 これは、DVDを購入して、やっと観た。
 公開時は、まだ子供だったから、紹介記事をよんでコーフンしたのみ。

 「白い肌をした黒人」の物語。
 弟(黒い肌の黒人)をリンチで殺された兄の復讐は、ボスの女を寝取ることから始まり……。
 クリスチャン・マルカンのやりたい放題。
 まあ、単純な活劇で、この時期のフレンチ・ノワールだから、ジャズも愉しめる趣向だ。


 原作および脚本は、才人ボリス・ヴィアン。
 といっても、最初は、アメリカ黒人作家の「問題作」翻訳というふれこみで刊行された。
 「白い仮面をかぶった黒人」の物語を、ヴィアンは「黒い仮面」をかぶって書いたわけだ。
 この仮面の「二重化」をあんまり面白がってもしかたがないけれど……。
 多芸多才の寄席芸人ヴィアンの悪趣味?
 それを肥大させたフランス文化の「黒人文学コンプレツクス」を考えるべきかも。