ラルフ・ネルソン『ソルジャーブルー』 1971年


 個人的な追憶は『ワイルドバンチ』の項目で見事に幕を閉じる。
 西部劇・夢のかけら、あとの一回はつけ足しだ。


 『明日に向かって撃て』『アントニオ・ダス・モルテス』など、印象深い作品はこの間にはさまっている。
 けれど、どちらも純然たる西部劇とはいえないだろう。
 ニュー・ウェスタン・シネマ、もしくは、南米西部劇。

 じつのところ、『ソルジャーブルー』の内容は、あまり記憶に残っていない。
 ラストの合衆国軍隊による先住民虐殺シーンを除いては……。
 しかし、これはあまりにも有名すぎて、作品を観たことのない者すら話題にのぼらせる場面だ。
 もしかしたら、わたしはこの映画を観たと記憶しているだけで、じつは観ていないのかもしれないと思うことがある。
 観なくてもよかった。
 それ以前に西部劇という夢の神話、かつてあれほどにも輝いていた神話は粉ごなに崩れ落ちてしまっていたのだから。
 あえてこのフィルムが総仕上げをするまでもなく。