チョウ・ユンファ『愛と復讐の挽歌』 
  

 1988年2月13日土曜
 ユンファ主演の「挽歌」シリーズが続々と公開され。
 残念ながら、すぐに飽きるような出来のものばかり。

 東映やくざ映画と香港ノワールとの決定的な違いは、脇役の層の厚みにあった。
 東映の場合は、いわゆる大部屋俳優に人相の悪いのがゴマンといて、背景に映っているだけで強烈な存在感を放っていた。賭場シーンではモノホンの渡世人が特出するとか。
 香港ノワールは、主役級だけで集団抗争のドラマを展開する。
 後ろに控える子分たちは寄せ集めのエキストラ。
 その分の薄っぺらさは隠しようがない。
 銃撃戦のドンパチだけはどんどん派手にエスカレートして……。