菅原文太『現代やくざ』シリーズ 1969-71
 文太が東映で主役を張った初めてのシリーズ。
 
 新東宝・松竹時代の作品は知らない。
 『極道』シリーズの若山富三郎の弟分役が、ヤクザ路線の東映に移籍してからの初出演だったか。
 初期は、コミカルな三枚目役、悪役が多かった。
 主演は『現代やくざ』シリーズに始まる。
 振り返ってみれば、『仁義なき戦い』シリーズに収斂していく「実録リアリズム」路線は、このあたりから助走段階に入っていたのだろう。製作側の路線的にも、深作欣二や中島貞夫などの作家的にも、また、文太の個性の面からも、こうした流れは、必然だったといえる。
 『与太者の掟』『与太者仁義』に始まり、『現代やくざ・血桜三兄弟』『現代やくざ・人斬り与太』『人斬り与太・狂犬三兄弟』で頂点をつくった。
 
 個人的にいえば、この三作が最高。
 較べて『仁義なき戦い』は、大衆路線にすぎなかった。