菅原文太『関東テキヤ一家』シリーズ1969-71
菅原文太『まむしの兄弟』シリーズ1971-75
  
 どちらも封切りで観た記憶はない。
 後からバラバラに観散らかして、どれがどれとも区別のつかない様相。
 「テキヤ一家」のほうは、健さん着流しヤクザ路線のB級版で、クライマックスに流れる主題曲までついている。

  

菅原文太 - 関東テキヤブルース [1969].mp3


 その意味で、「まむし」のほうが、意外性の面白さがあふれていた。
  
 ラストの「斬り込み」場面の決めセリフは、やくざ映画の定番。
 『昭和残侠伝』では、池部良の「秀次郎さん、ご一緒させていただきます」になる。
 流れ者が、一宿一飯の恩義でイノチを預ける。あくまで格調高い芝居が盛り上がっていくのだ。
 それが『まむしの兄弟』では、「キョウライ、行こけ」。
  
 巻き舌のおかしな関西弁で、品位も美学もぶっ飛ばしてしまう。
 死に場所を選ぶ詩情なんてかけらもない。
 それまでの八方破れの極道人生そのままに、仕方がないので殴り込みに決起するだけ。
  
 これをホームドラマ的に大衆化したものが『トラック野郎』シリーズだ。