内田吐夢『人生劇場・飛車角と吉良常』



 数あるやくざ映画のなかで、一本だけ選べといわれたら、これ。
 飛車角(鶴田浩二)がお豊(藤純子)と再会するシーンの無類さ。
 二人の間(距離)と言葉のない交感。
 その距離を埋める吉良常(辰巳柳太郎)の万感。
 セリフなしに進行する場面に、すべてを「語ってくる」映像は、いまだに眼に焼きついている。


 あるいは山下耕作『博奕打ち・いのち札』。