2023.03.26 レニー・ハーリン 『5デイズ』 2011 5 DAYS OF WAR

 世界中が北京オリンピックの開幕に沸く2008年8月、グルジア領内にある南オセチアの帰属を巡ってグルジア軍とロシア軍が衝突、5日間にわたって激しい戦闘が繰り広げられた。本作は、この“5日間戦争”と呼ばれる戦火の最前線で決死の取材を続ける戦場ジャーナリストの姿を、グルジア軍の全面協力による迫真の戦闘シーンとともに描き出す。ーーallcinema.onlineより

 


 戦争にあって第一に損傷されるのは「真実」なり。ーーこの言葉を冒頭に置いて映画ははじまる。

 ロシア侵攻の尖兵となるオセチア軍傭兵vs真実の報道に命を賭ける戦場カメラマン。

 いかにもアメリカ映画スタイルの戦争映画だ。

 市民虐殺を撮影したデータを奪うために、傭兵の隊長は人質をとって交換をもちかける。その場所がスターリンの像の立つ広場。西部劇そのままのような対決が、意味深長な場面となる。

 北京オリンピックの会場から「戦争」の正当性を訴えるプーチン。プーチンだけは、この劇映画におけるリアル映像として、例外的に登場してくる。西側視点のこの非対称性は、興味ある問題ではないか、と。

 ロシアはこの作品への「反論」として、翌年『オーガストウォーズ』 を製作した。

 ロシア側からの「真実」を映画化したわけだ。


  

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