2001.06.07
アダム・サイモン『アメリカン・ナイトメア』

 ホラー・フィルムのドキュメンタリと思って観ていたら、随所に、ホラーこそ反体制のカウンター・カルチャーだったという自己顕示が……。おかげで、60年代世代の懐古的「自慢話」の色合いが濃い。

 それは我慢できる。無視すればいい。
 けれど、ちょっと違うんじゃないかね。
 ロメロ御大はともかく、トビー・フーパーなんかに体制へのノンがあったのか。


 インディペンデント・ホラーによって60年代末から70年代の時代を語るドキュメンタリー。
 観点は、わたしの『エイリアン・ネイションの子供たち』と重なってくるが、残念ながら、共鳴できるところはごく少ない。
 まず作り手たちの反体制度について、生真面目なイデオロギーをあてはめすぎている。
  価値ある反抗と位置づけるのは無理ではないか。
 ジョージ・A・ロメロとトム・サヴィーニ以外の顔ぶれは、たんなるホラー・オタクなのだ。
 ごっちゃにして回顧・崇拝に祭り上げるのは待ってくれ。