演技派で売り出して、気の抜けた娯楽作で白人の相棒役で(二番手の)看板を張る、といったブラツクスター定番コースをとらなかったのがウェズリー・スナイプス。
 もっぱらアクション路線でクリーンヒットを放っている。


 『パッセンジャー57』
 93年8月10日火曜



 『ハード・プレイ』
 93年11月11日木曜



 『ライジング・サン』
 94年8月6日土曜



 『デモリションマン』
 94年9月5日月曜



 『ボイリング・ポイント』
 94年11月3日木曜



 『ドロップ・ゾーン』
 95年8月24日木曜



 『マネートレイン』
 96年11月11日月曜



 『ザ・ファン』
 97年7月28日月曜




 『ブレイド』 99年9月26日日曜



 『アート オブ ウォー』 00年11月8日火曜

 加えて、共演の白人スターに曲者ばかり並んでいるのも面白い。
 『パッセンジャー57』のブルース・ペイン
 『ハード・プレイ』『マネートレイン』のウディ・ハレルソン
 『ライジング・サン』のショーン・コネリー
 『デモリションマン』のシルベスター・スタローン
 『三人のエンジェル』のパトリック・スウェイジ、ジョン・レグイザモ
 『ボイリング・ポイント』のデニス・ホッパー
 『ドロップ・ゾーン』のゲーリー・ビジー
 『ザ・ファン』のロバート・デニーロ
 『ブレイド』のスティーヴン・ドーフ、クリス・クリストファーソン
 『アート オブ ウォー』のドナルド・サザーランド

 などといった顔ぶれ。

 最近はいささかパワーレベルがダウンしてきているが……。
 巻き返しを期待しよう。

 観落としていたのが、『三人のエンジェル』
 スナイプス、スウェイジ、レグイザモ。女装の競演がナントモ……。

 『ブレイド』シリーズは「非純血」のヴァンパイアが吸血鬼ハンターになるという設定。スナイプスの主演は三部作で終わった。

 最新作は、『ギャロウ・ウォーカー 煉獄の処刑人』
 マカロニウェスタンとゾンビ・アクションとホドロフスキー的悪趣味の合体。
 自分の殺した相手が不死のゾンビとなって彷徨う、といったややこしい「オキテ」を定められた殺し屋の宿命。
 これは、やはり『ブレイド』のヴァンパイア・ハンターの「煉獄」に通じているようだ。純血種ではない故に、自らの種族を裏切って敵対するしかない呪われた宿命を背負う男。
 白人の支配する世界で、黒人が白人ヒーローの「代理」を努めることは可能なのか。その矛盾をつきつめたところに出現する逆説的なヒーローだ。