『任俠映画の世界』荒地出版社 1969.12
『任俠映画大全集』キネマ旬報 1971.3.20増刊
 
 この種の本が残っているように、すでにヤクザ映画は、70年代の境い目あたりで、「終わっていた」はずだ。
 ところが、個人的にみれば、ずっと現在進行形で観ていた、という記憶が鮮明だ。
  70年代の前半から半ばすぎにかけて、封切り館の京劇だけでなく、場末の二番館・三番館まで通う習慣がついていて……。
 
 それが、自分自身の影を踏みながら、よろめき歩いているような厭わしさだった。