30年遅れの映画日誌。映画を観るためには映画館に出かけるしかなかった時代の話。

 1982年2月27日土曜 晴れ
 若松孝二『水のないプール』

 新宿

 ひさかたぶりの若松映画。複雑な心境になった。
 もともとシナリオ次第で良くも悪くもなる作家なんだが。内田栄一の脚本は不愉快なしろものだ。妙に媚びていて志に欠ける。
 内田裕也と若松のコンビは『飼育』以来。あのムキダシの情念はどこにいったのか。
 裕也の欲求不満がくすぶって、崔洋一の監督デビュー作『十階のモスキート』にまで飛んでいったのだろう。単純にヒデェ映画だなと断じることはできなかった。いろいろな意味で。
 
 映画館通いと映画評論書きが、この時期あたりから同期してくる。
 
 「枯れ果てたプールで」 AtBL再録1