30年遅れの映画日誌。映画を観るためには映画館に出かけるしかなかった時代の話。

 1982年4月17日土曜 晴れ

 テオ・アンゲロプロス『アレクサンダー大王』

 神保町 岩波ホール


 土曜の午後は神保町で古書店めぐりするという「JJおじさん」もどきが習慣になっていた。

 交差点にあるビルの10Fを見上げると、そこに濃密な映画的時間が宝物のように開けているようで眩暈にとらわれた。時間調整のために、買えそうもない高価な本を散策してまわる。

 そしてアンゲロプロスの三時間半にわたる苦行と悦楽に。