メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ『ウォーターメロン・マン』(1970)
2009.01.17

 メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ MVP が『スウィート・スウィートバック』の前年に撮った作品。
 西瓜男の悲喜劇である。

 醜男が、ある朝、目覚めたら、絶世の美男子に変身していた、という話は、マルセル・エイメの『第二の顔』。
 (そのパクリがアベなんたらの『他人の顔』)
 この映画では、ごく普通の白人の勤め人が、ある朝、目覚めたら、マックロの黒人に変身していた、という発端。

 黒い肌をして「オレは白人だ」と叫んでも、ただ空しい。
 変身後を演じるのは、ゴットフリー・ケンブリッジ。
 「中味はシロイんだ、信じてくれ」といえばいうほど、おかしい。
 不条理な哄笑がつづくうち、やがて、人間性の深淵が、ほの視えてくる(?)ようなトラジ・コメディなのである。