ジョン・ヒューストン『許されざる者』 59年製作 60年公開
 1961年に観た。


 同タイトル作があるが、原題に「The」がついていないほうが、最近のクリント・イーストウッド監督主演による作品。

 回想のなかにめぐってくるフィルムのうち、主題歌が耳に残っているかどうかで、ずいぶんと残像のありようが異なる。
 音楽とシーンが一体化することによって、不朽の思い出になる。
 この映画の場合は、音楽が残っていないせいか、印象は割り引かれているようだ。


 基本的には「インディアン標的映画」時代の最後尾くらいに属する。
 しかし、話はあの当時観てさえ後見の悪いものだった。
 白人と赤色人との「許されざる愛」は、レスリー・フィードラー流にいうなら、ハリウッド映画の根源的トラウマだったんだろう。
 赤色人メイクのオードリー・ヘプバーンは、バッド・チューニング。

 ジョン・サクスンが儲け役だったが、途中で消えてしまう。
 主役でないオーディ・マーフィを観るのは初めてだった。

 少し前、テレビ放送で再見したとき。
 母親役のリリアン・ギッシュがヘプバーンを罵る科白が改変されているので、おかしくなった。
 口では「このインディアンの性悪女」と言っているのに、「アメリカ先住民の悪い女」なんて字幕がたらたらと説明的に流れてくるのだ。