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『大統領の理髪師』を観たぞ [映画VIDEO日誌2004-06]

『大統領の理髪師』を観たぞ 2004年10月06日
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 コメディタッチのホームドラマで韓国現代史の暗黒に切り込む。
 という謳い文句にウソはない。こういう方法が成り立つのも韓国映画の「勢い」だろう。
 主役の一家に扮した俳優がそれぞれ最高だ。


 韓国映画にはさまざまなタブーがあったということは周知のこと。解禁は進んでいるとはいえ、逆に、ストレートすぎるテーマでは作品化しにくい。大統領の専任理髪師とその家族の十数年という狙いは見事に当たった。
 気の弱い亭主(『JSA』『殺人の追憶』のソン・ガンホ)、口うるさい女房(ムン・ソリ)、トリックスターの一人息子(イ・ジェウン)。役者の存在が観念劇に肉体を与えた。


 韓国人のなかに潜在する朴正熙という国家指導者への二律背反的な感情が了解できて面白かった。 
 朴は独裁の悪の人格化でもあったが、権力にしがみつきアメリカに見はなされて「第二・李承晩化」する前は、慈父のような崇拝の対象であったかもしれない。
 開発独裁は現在の民主化社会の原動力を蓄積したという評価も生まれるのだろう。

 「北塊スパイ事件」の取り扱いなど、後半にいくほど戯画化が過ぎると感じさせる。
 大統領がツルッパゲの全斗煥に替わったら用済みになったというオチもいただけない。
 だが、韓流ドラマ独特の、誇張された哄笑もまた「庶民の悲哀」を表わす作品全体のメッセージなのだろう。







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