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ビレ・アウグスト『リスボンに誘われて』 [映画VIDEO日誌2023前半]

2023.06.05 『リスボンに誘われて』 2013 NIGHT TRAIN TO LISBON
ドイツ / スイス / ポルトガル
 パスカル・メルシエの世界的ベストセラー『リスボンへの夜行列車』を「ペレ」「愛の風景」の名匠ビレ・アウグスト監督が映画化したミステリー・ドラマ。退屈な人生を送る高校教師が、一冊の本との偶然の出会いをきっかけに、作者の素顔を探るべくリスボンの街を旅するさまと、主人公が解き明かしていく作者の波乱の人生を哀愁あふれる筆致で綴る。主演は「運命の逆転」のジェレミー・アイアンズ、共演にジャック・ヒューストン、メラニー・ロラン。
 スイスの高校で古典文献学を教える教師ライムント・グレゴリウス。5年前に離婚して以来、孤独で単調な毎日を送っていた。ある日彼は、橋から飛び降りようとする女性を助ける。しかし彼女はすぐに行方をくらまし、ライムントは彼女が残した本に挟まれていたリスボン行きの切符を届けようと駅へ向かう。しかし女性の姿はなく、ライムントは衝動的に夜行列車に飛び乗ってしまう。そして車中でその本を読み心奪われたライムントは、リスボンに到着するや作者アマデウを訪ねる。しかし、アマデウは若くして亡くなっていた。やがて彼を知る人々を訪ね歩くライムントは、独裁政権下のポルトガルで反体制運動と情熱的な恋に揺れたアマデウの濃密な人生を明らかにしていくのだったが…。ーーallcinema.onlineより

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 明らかにされる、反ファシズム抵抗運動の過去。シャーロット・ランプリング、トム・コートネイ、クリストファー・リー、ブルーノ・ガンツ、レナ・オリンなどが現われて(捜しだされて)悔恨を語っていく。だが、残念ながら、どれも深みがなく、陳腐だ。これは、最後に悲劇のヒロイン(スペインに逃げた)が出てきた場面で、薄っぺらさの総仕上げになる。いや、ミステリ・ロマンとしてはこの程度の甘い味つけでいいってことか。
 一冊の本が小道具になっているところは、カルロス・ルイス・サフォンの「忘れられた本の墓場」シリーズを想いおこさせ、期待したが、原作そのものがサフォンの劣化・俗流版なのだろうか。あるいは、異質かもしれないが、探して読みたいとまでは迫ってこない。ギヨーム・ミュッソに近いようだ。いや、ミュッソのほうが後出しか。

 往年のスターを豪華に揃え、ポルトガルの風景も美しい。文句をつけるにしのびないけれど……。

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 アイアンズが海に面したホテルの窓辺にたたずむシーン、一瞬、あれはタネール映画『白い町で』のなか、ブルーノ・ガンツが魅せた横顔の「引用」なのだった。
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