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『地獄の警備員』 [afterAtBL]


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 クロサワ版『マニアック・コップ』だな。マニアック・ガードマンの映画か。しばらくぶりに映画評で、筆がすでにサビついてしまっている気もするが、何とか。
 必ずしもホラーでもないし、必ずしもパロディでもないし。わりと行儀よく作ってあるけれど、恐くても笑えないし、当たり前のことに、笑えても恐くはない。様々な映画からの引用があって、それがマニアックに面白くあるのだろうが、情無いことにその味合いを楽しめない。
 ラストの洞口依子が出てくるワン・シーンは何なのか。ただちにこう反応できないのだな。『ダイ・ハード』のパロディのようで、それにしては左奥の階段を登って行くヒロインは何なのだ。そんな具合いに、色々の仕掛けがどうも、観るそばから視野の外へこぼれ出していく。
 映画評論家廃業だな、これではもう。

 マニアック警備員のセリフは、村八分の歌「あッ!!」そのままで少しまいった。
 《俺の事わかる奴 よく聞け
  わかる奴聞け 俺の事を》。

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 これが元相撲取りの殺人鬼のいい草。一目ぼれした女のために殺しまくる。彼女が落としたイヤリングを片耳に付けて。この男のことなどわかる奴はいないから殺しまくる。けれど殺せば殺すほどマンガになる。こんなに管理システムのルーズな企業ビルなんて現実にはないから。雑居ビルだってこんなにいいかげんではあるまい。と思ってしまうが、このへんの作り手の計算はどうなのか。常識を適用しにくい。
 それにホラーのノリも、それほど圧倒的ではなく。芸のない殺人鬼なのだ。愛嬌もない。ただただ力まかせに警棒で殴りまくる非能率さ。そのぶん観ていてくたびれて気の毒になる。『帝都物語』のカイジンに似ているだけ印象が薄くなった。
 これでは『マニアック・ガードマン2』はないだろうな。
 一つだけ、相手をロッカーに押し込めて、ぶちかましをかけて、つぶし殺してしまう、あのバカっぽいシーンは面白かった。それでも、ロッカーのすきまから血がダラ~ッ、では結局月並みすぎる。特殊効果がマンガ路線をぶっとんでいないのだな。そこが不満ののこるところ。
 マニアック・ガードマンが倒されて、その血の海に落ちたイアリング。あのラストに近いシーンは、あれは何の引用だったか。マニアック・クロサワのオマージュの源泉、それすらわからん、ああ情無い。

『ミュージックマガジン』 1992.6

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Matexpori

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